親が仕上げ磨き習慣を

「歯磨きしていますか?」と聞かれたら、ほとんどの人は「はい」とか「毎食後必ず」と答えるでしょう。しかし、「歯磨きできていますか?」と聞かれ、自信を持って「はい」と答えられる人は、意外と少ないのではないでしょうか。「歯磨きができていない」と自覚できるのが、歯科医院でのプラーク(歯垢)のチェックの時である。子供の頃、赤い染色液を歯にぬり、口をすすいだ後も赤く残った所があったという経験を持つ人が多くいるでしょう。この赤く残った所が、プラーク、つまり、きれいに磨けていない所なのです。プラークは多くの場合、前歯では歯と歯茎の間、奥歯ではほおの側に付きやすい。また、右利きの人は右側に、左利きの人は左側にと、磨きにくい所に付くのが特徴である。小さい子供のむし歯治療に来られた母親が「この子は、よく歯磨きをしているのですが」とおっしゃる時は、私は歯磨きをする事と、歯磨きができている事の違いを話し、子供が磨いた後に、親が仕上げ磨きをする習慣をつけて下さるようお願いしています。これだけでも、かなりむし歯リスクが少なくなるし、仕上げ磨きの習慣が、親子のコミュニケーションの一役を担う事になれば、幸いです。

むし歯は、基本的には不可逆的な疾患、つまり一旦虫歯になった歯を元に戻す事は不可能です。ただ、唯一の例外として、初期のむし歯(CO)で発見された場合は、回復可能です。COとは、歯の表面に白斑、褐色歯など色の変化が観察される状態で、「要観察歯」と言われています。口の中の状態が悪く、治療が必要なむし歯になる可能性が高い歯のことをいい、この時点でフッ素などの対応をすると、健全な歯に戻りうるのです。このCOの状態は、自覚症状がない為、早期発見によるトリートメントを受けるには、歯科での定期的検診が必要です。

歯科医院は、歯が痛む時、冷たいものがしみる時、痛みを取り除くために仕方なく訪れる場所というイメージが強い。しかし、今年からはCOの早期発見、プラークのチェックという予防検診の為に歯科医院を訪問される事をお勧めします。気軽に相談できるホームデンティスト(かかりつけ歯科医)の元に季節の変わり目ごとに足を運ぶ習慣をつけてみましょう。歯磨きはできているか?むし歯の兆しはないか?あなたの健康な歯をケアするために、ホームデンティストは、あなたにとって最高のアシスタントとなってくれるでしょう。

医療法人健歯会 総院長 森 誠