むし歯と歯周病
今やコンビニの数より多いといわれる街の歯科医院。そこに通う患者さんの大半がむし歯と歯周病と言われています。むし歯は、人類が初めて出合った文明病だとの説があります。日本では石器時代にはむし歯はなく、食生活が豊かになった室町時代から多くなったと言われています。そして今や日本のむし歯は、増加の一途、中でも5歳から15歳の子ども100人のうち、97人がむし歯になっているという統計もあるほどです。世界有数のむし歯民族になっているのです。
虫歯の原因はさまざまで、アリストテレスはイチジクの実まで犯人にあげたが、今では、ミュータンスと言われるむし歯菌が確認され、そのメカニズムも明らかにされつつあります。検診や歯科医による予防教育の普及によって、むし歯の罹患率や処置率は向上してきました。一方で、歯の健康の大敵として登場したのが、歯周病です。これには歯肉に炎症が起こる歯肉炎と、さらに進み歯肉や骨が侵される歯周病(歯槽膿漏)があります。歯周病は生活習慣病の一つで、歯の周りに着く歯石や歯垢が起因しています。むし歯と違いあまり痛みがないので本人も気づきません。歯茎がおかしいなと思った時には手遅れ寸前なのです。病気の症状としては、歯石がついたら危険信号。口臭、歯茎の赤み、歯茎からの出血は歯周病の兆候とみて間違いありません。今の若者は一昔前にくらべるとよく歯を磨くが、歯茎の手入れを含めた、きちんとした歯磨きができていません。そのため中学生の97%が歯茎になんらかの炎症を起こしていたという報告もあります。
このように最近は食生活をはじめとする生活習慣の変化から、歯周病の低年齢化が起こってきています。それに反して、歯ブラシ指導などはまだ小学校でのむし歯予防の為のブラッシング方法しか指導されておらず、中学および高校などでの指導は徹底されていないのが現状です。それを補うには、やはりかかりつけの歯科医院で指導してもらうことが非常に大切になってきます。歯周病は早期発見、早期治療が克服の鍵で、歯科での定期検診が欠かせません。
そこで、医師や歯科衛生士の指導を受け、自分の歯にあった正しい歯の磨き方をマスターすることは、歯周病予防には大切なことです。病院通いが好きな人は少ないでしょう。なかでも歯の治療を敬遠する人は多いはずです。歯を削る機械のなんともいえない音、振動…。そんな痛さと格闘しながら憂鬱な日を送ることにならない為にホームデンティスト(かかりつけ歯科医)のもとでの定期検診をぜひおすすめします。
医療法人健歯会 総院長 森 誠